2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されました。相続登記をせず放置すると過料(罰金)を科される可能性があります。昨年夫の父が亡くなり、田舎の土地建物・農地の相続登記が必要になりました。誰も後を継がない、売却したくても買い手がつかないような、田舎の築100年を超える古家と土地。本当は相続登記なんてしたくないけど、義務化されたんなら仕方ないよねってことで、節約を兼ねて自分でやってみることにしました。(司法書士に頼むと10万円ほどするそうです)
法務局のホームページで情報収集
まずは、どうすればいいのか法務局のホームページで相続登記について情報収集をしました。相続登記に必要な書類とか相続登記の流れが詳しく書いてあってそれを参考にしてチャレンジすることにしました。
私の場合、フルタイム勤務で平日は身動きがとれず、1日だけ有給を使って、職場近くの法務局の無料相談(事前予約が必須・1回20分以内)に行き、わからない箇所を教えてもらい、後はひたすらネットで調べまくってなんとか無事に相続登記を完了させました。平日時間がある方は、法務局の無料相談を活用し(予約がとれれば、何度も利用可)パソコンで申請書を作成できれば自分で相続登記が出来ると思います。
法務局の無料相談は、時間に制限があるので、ある程度書類の準備や作成ができて、不備のチェックやわからない点を質問するために利用するのがおすすめです。
ステップ1 書類集め
相続登記に必要な書類を集めます。これは、故人の銀行口座解約などにも必要な書類なので、私は使い回しました。この書類集めがかなり大変なんですが、私(税理事務所勤務)も夫の兄(銀行員)も相続に必要な書類の取得の仕方を仕事柄知っていたのと、亡くなった父が出生から死亡まで本籍地を変えることなく現住所のままだったので、かなり助かりました。
戸籍謄本は亡くなった人の本籍地のある市町村の役所で取得します。複数回、本籍地を変更している(転籍)場合は、異なる市町村から順番にさかのぼって除籍謄本を取り寄せなければならず、手間と時間が非常にかかるのです。
令和6年3月1日より、最寄りの市町村の窓口で遠くの本籍地の戸籍の証明書が取得できるようになりました!
- 故人の出生から死亡までのすべての戸籍(すべての戸除籍謄本)*銀行でも使用
- 故人の登記上に記録されている住所が明記されている(戸籍の附票や住民票の除票など)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本 *銀行でも使用
- 相続人全員の印鑑証明書 *銀行でも使用
- 新たな登記名義人になる人の住民票(住民票コードを申請書に記入する場合は不要)
- 固定資産の評価証明書(登記申請時における年度のもの)
- 登記事項証明書
ステップ2 遺産分割協議書作成
我が家の、相続人は夫の母・夫の兄・夫の3人です。*面倒なので、夫の母、夫の兄は母・兄と表記します。
母が田舎の家で一人暮らしていますが、90歳の母は今年施設に入居予定なので、兄と夫の2人で相続を考える事に。どちらも和歌山県在住だけど、それぞれに持ち家があり、田舎の家は相続したくはありません。将来田舎に帰る予定もなく、荒れ果てる予定の田畑をどうすればいいのか、頭の痛い問題です。
私の仕事柄(税理士事務所勤務)、土地建物を共有で相続登記するのは、後々揉める原因になりやすく、もし売却することになったり、共有者に相続がおこると、ますます共有者が増えて所有権が複雑になる恐れがあります。兄(銀行員)も同意見なので、どちらか一方が全ての土地建物を相続することに決めました。兄弟共に、要らない土地だが、母が弟(夫)に相続してほしいと言うので、夫が全ての土地建物を相続することに決定しました(T^T) *私の実家も夫の実家と同じく紀南地方にあり、母亡き後でも田舎に寄る可能性が高いだろうと言うのが母の言い分です。
相続登記に必要な遺産分割協議書は、相続登記する土地・建物についてだけ必要なので(預貯金などの分は必要なし)、法務局のホームページにある、遺産分割協議書を参考に作成しました。
ステップ3 登記申請書作成
こちらも、法務局のホームページから様式をダウンロードして、作成しました。
これでゴールも近いと思ったのもつかの間、固定資産の評価証明書の家屋が2階建が平家と表記されていたり、実在していない便所や物置に課税評価額が記載されていたり、とっくの昔(昭和の中頃)に取壊されている鶏舎が登記事項証明書に記載されていたりと、法務局のホームページを参考にしただけでは分からない事柄が多すぎて、プロに頼めばよかったかもとちょっと後悔。
いいや、何事も経験。ここで諦めたら、今までの苦労がパーになると、法務局の無料相談を終えた足で、高速をぶっ飛ばして、夫の実家のある役所に行き、固定資産の評価証明書の記載事項の違いを訂正してもらいました。今やグーグルマップの航空写真で確認して、便所や物置が確かにありませんねって・・・。こんなお役所仕事でいいの? 固定資産税の評価額に記載はあったけど、実際の固定資産税は免税点未満とかで払ってなかったので、よかったけど・・・。
なんでこんなに必死になって、訂正してもらったかっていうと、相続登記には登録免許税がいります。
相続登記の登録免許税 = 不動産の固定資産税評価額 × 0.4%
固定資産税の評価額に対して登録免許税がかかるんです。実在してない建物に払えるか!ってことで頑張りました。
土地(固定資産税評価額)の価格が100万円以下の場合、登録免許税が免除されます(2025年3月31日まで)
ステップ4 相続関係説明図作成
登記を申請する場合には管轄のルールがあり、不動産の所在地によって提出すべき法務局は異なります。
我が家の場合、管轄の法務局が2カ所あり、それぞれに登記申請書と添付書類(原本)を提出しなければなりませんでした。故人の出生から死亡までのすべての戸籍(すべての戸除籍謄本)や相続人全員の戸籍の証明書や印鑑証明など、同じモノを揃えるのは結構な手間とお金がかかります。戸籍謄本1通につき450円~750円かかります。まさか法務局に管轄があるなんて知らず、余分に書類を取得していなかったので、原本を返還してもらい、次の法務局に提出するという方法をとりました。
原本を返還してもらうために、この相続関係説明図が必要になります。これを作成して提出することによって、戸除籍謄本のコピーを取らずに返還してもらえます。
これも法務局のホームページからダウンロードして記載通りに作成しました。
ステップ5 登記申請書の提出
やっとここまでこぎ着けました。必要書類を集め、申請書を作成し、原本還付してもらえるようにコピーをとり、誤字脱字がないか、登記簿謄本のとおりの不動産表示に記載されているか、何度も確認しました。
遠方の法務局に提出するため、平日に行けないので、郵送で提出することにしました。
郵送の場合、法務局からは本人限定受取郵便で送られてくるので、返信用の大きめ封筒(A4サイズが入る)に住所・氏名を書き(登記申請人)、郵便切手を多めに入れ(私の場合1,000円分の切手を用意したが、80円分不足し法務局より電話があり、不足分の切手を法務局に送ることになりました。)、赤色のレターパックプラス(青色のレターパックはダメよ)で管轄の法務局に送りました。
送付は、レターパックプラスでいいが、返信用は本人限定受取郵便なので、レターパックプラスは使えません
ステップ6 登記完了
法務局から、登記完了証と登記識別情報通知書が届きました。登記申請書を提出してから10日程で届きました。
本人限定受取郵便は、郵便局の窓口で受け取るのが基本です。 自宅に届いた「到着通知書」を持って窓口に行き、受取人の本人確認書類を提示することで、本人限定受取郵便が受け取れる仕組みになっています。
相続登記って素人には難しいけど、時間と労力とプロに頼む報酬を天秤にかけて、自分ででも出来そうと思ったら、チャレンジしてみる価値はありますよ。
我が家の場合、登録免許税が8,000円。(ほとんどが100万円以下の土地だったので、登録免許税が免税になりました)
登記簿謄本や戸籍の証明書の取得に約20,000円かかりました。登記簿謄本が畑や田、はては公衆用道路に用悪水路にまで細かく分かれてあり、20数枚もの登記簿謄本が必要でした。1通600円するのでそれだけで、軽く12,000円超え。戸籍の証明書関係は6,000円、郵送用の切手にレターパックプラス代でおよそ1,600円。
相続登記、トータルで約28,000円。司法書士に頼んだらプラス10万円はするそうなので、いい節約になりました。
整理収納アドバイザー 寺岡麻帆